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ご挨拶

第8回日本DOHaD学会学術集会 会長

国立成育医療研究センター内分泌代謝科 堀川玲子

 

 第8回日本DOHaD学会学術集会開催にあたり、皆様にご挨拶申し上げます。本学術集会の会長を仰せつかり、身に余る光栄であると共に、その重責を感じているところです。

 DOHaDの概念の提唱された1990年代から、本邦では出生の10%が低出生体重となり、SGA(Small for gestational age)児の増加が問題となってきました。DOHaD説から本邦の状況を考えると、この子ども達が中年成人になるころには、成人病罹患率はかなり上昇することが予測されます。低出生体重児増加の背景として、生殖年齢男女の痩せ、妊娠中の不十分な体重増加、出産の高年齢化と生殖補助医療による妊娠の増加など、胎児環境の変化が挙げられ、まさに受精時の条件と胎生環境が、成人病の種を植え育てていることを実感します。

 国立成育医療研究センターでは、DOHaDの検証とメカニズムの解明・疾患の予防を目的として、2010年からSGAコホートをコアとした出生コホート研究が開始されました。このようなコホート研究を通じ、一歩進んで、“先制医療”を進めることが、高齢化の進む本邦での健康長寿にとって喫緊の仮題であることは間違いありません。そこで、本学術集会のテーマを、“DOHaDの検証と未来”とさせていただきました。

 シンポジウムでは、日本のコホート研究の連携、DOHaDの検証に加え、生殖と大きく関わる分野である性分化の問題を取り上げました。特別講演にはニュージーランドからPaul Hofman先生をお迎えして、胎生期の栄養と生後の代謝のお話をして頂く予定です。どのセッションも各分野のリーダーの先生方のご講演を楽しんで頂けると思います。また、今回は口演発表を増やしました。皆様の積極的なご参加を期待しています。

 至らない点は多々あるかと思いますがご容赦頂き、最後まで皆様に充実した時間を過ごして頂けましたら幸いです。

                         2019年2月 

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